背中・腰の部分などの症状
肩甲間部痛 ペイン整形外
肩より少し下、両側の肩甲骨の間の背中が強く痛み、気持ちが悪い、呼吸するのも苦しい感じがする、などの症状があります。マッサージや入浴で痛みがゆるむのであれば問題ありませんが、痛みやつらさがゆるまずに何週間も続くとかなりつらくなります。この症状にはトリガーポイントブロック治療が有効です。何回かのトリガーポイントブロックで痛みが軽減しない場合は、交感神経の過緊張が考えられますので、星状神経節ブロックを併用することもあります。
背部痛 ペイン整形外
背部痛でも肩甲骨より下の場合、多くは腰痛とともに背筋が弱いために起こる筋筋膜性腰痛と同様の症状です。背骨の両側にある体を立てる起立筋が強く張っています。治療はトリガーポイントブロックです。
腰椎椎間板ヘルニア ペイン整形外
腰椎(腰骨)には脊髄が通るトンネルがあいています。脊髄はこのトンネルを通って脳と下肢をつないでいます。脊髄は腰骨の隙間からまるで木の根を出すように神経の枝を左右に広げています。神経は坐骨の下を通って下肢に分布します。
腰椎と腰椎の間にある椎間板が飛び出して(ヘルニア)トンネルの中で神経を圧迫すると腰痛が起こったり、下肢のどこかが痛くなります。痛みのために立ち上がることさえできない場合もあります。
ただし、よほど酷い状態でない限り手術をすることはありません。ヘルニア患者の3〜4%が手術を受けますが、ほとんどの方は神経ブロックを行うことで痛みを緩和することができます。
治療について→痛みの治療を知ろう:第11話 若いのに腰痛 腰椎椎間板ヘルニア
腰部脊柱管狭窄症 ペイン整形外
症状の原因は腰椎椎間板ヘルニアと似ていますが、違うのは神経が圧迫される原因です。腰椎(腰骨)のトンネルが年齢的変化により狭くなり神経が圧迫され痛みが起こります。椎間板ヘルニアと同じように、腰痛、あるいは下肢のどこかが痛くなり、痛みのために立ち上がることさえできない場合もあります。
腰部脊柱管狭窄症に特徴的な症状は、歩き始めると痛みやしびれがでて歩けなくなることです。少し腰を丸めて休むと再び歩けるようになります。
よほどひどい状態でない限り手術をすることはありません。多くの方は神経ブロックを行うことで痛みを緩和することができますが、完全に痛みやしびれを取り除くことは困難です。治療では生活上支障のない程度まで症状を改善することを目標としています。
当院では神経ブロック治療のみではなく、運動療法の指導や旅行時対応方法の指導を行います。5分歩けたら温泉旅行、10分歩けたら国内旅行、15分歩けたら海外旅行を勧めます。一方、症状の改善が見られない場合は信頼できる整形外科病院へ手術を依頼します。
治療について→痛みの治療を知ろう:第12話 長くは歩けない 腰部脊柱管狭窄症
坐骨神経痛 ペイン整形外
腰から下肢へ向けて背骨より出て行く神経は坐骨(臀部)を通りますが、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症でこれらの神経が背骨の中で圧迫されると痛みが出ます。痛みの原因は背骨の中にあるのですが、臀部で坐骨神経が押されて刺激されると同じ痛みが腰や下肢に走ることがあります。
坐骨神経痛は病名でなく症状名ですので、正確に言うと「○○○(病名)による坐骨神経痛」となります。しかし腰〜足にかけて痛む場合は坐骨神経痛と総称しても良いでしょう。治療は腰部硬膜外ブロックや神経根ブロックが効きます。
ぎっくり腰 ペイン整形外
いわゆる「魔女の一撃」。ちょっとした動作で背骨付近にギクッとした痛みや違和感を感じた後から、強い腰痛が起きて体を動かすたびに激痛が走るようになります。腰骨の関節である椎間関節の痛みであると考えられます。
通常は治療として硬膜外ブロックを行います。症状の強い患者さんにはレントゲン室でテレビカメラを用いて椎間関節ブロックを行います。
この病気はとにかく痛く、トイレにも行けないほど動作が制限されます。2〜3日で症状が改善すると良いのですが、ひどいと1週間身動きが取れません。仕事は休み。当院では患者さんの多くの希望に応えて車椅子で自宅玄関まで迎えに行き治療を受けられる仕組みがあります。詳しくはぎっくり腰外来を参照してください。
私は診療中に患者さんの腰を触ろうとした瞬間に痛みが走り、そのまま椅子から立てなくなりました。もちろん診察は中断。治療室へ連れられて行き、椎間関節ブロックを受けました。その後、再び診療に戻りました。(立山)
仙腸関節痛 ペイン整形外
まれな疾患ですが、おしりの真ん中あたりを押すと痛みが出ます。歩行時や椅子に座るときに痛いようです。痛みが強い場合は仙腸関節ブロックをレントゲン透視下で行います。
股関節痛 ペイン整形外
股関節の加齢や先天的な変形による痛みです。大腰筋筋溝ブロックが痛みを緩和することがあります。股関節へのヒアルロン酸注入術をレントゲン透視下で行いますが、両治療とも保険適用ではありません。
肛門痛陰部痛 ペイン
慢性の肛門痛陰部痛は原因不明ですが、敏感な器官ですので神経的トラブルがあると症状が強く出てきます。難治性で、精神的な負担が症状を強くすることもしばしばあります。治療は仙骨硬膜外ブロックと軽い抗うつ薬を用います。
治療について→痛みの治療を知ろう:第16話 こんな痛みも辛いです
筋筋膜性腰痛(いわゆる腰痛) ペイン整形外
腰回りの筋肉がいつも緊張している状態です。運動療法がおすすめですが、逆に運動しすぎで痛くなることもあります。理学療法やトリガーポイントブロックが効きますが、長期的には腹筋背筋を鍛えることが大切でしょう。